Cute Movies
監督:隅田靖
原作:ゲッツ板谷
歌:ザ・クロマニヨンズ
出演:松田翔太 新垣結衣 仲村トオル ほか
[c]2007「ワルボロ」製作委員会
【ワルくてボロい、直球型の青春映画☆】
1980年代。東京都立川市。スラム一歩手前のショボイこの町で、中学生のヤンキーたちがバカな争いを毎日繰り広げていた。
それまで勉強一筋だった中学3年生のコーちゃん(松田翔太)は、幼馴染のヤンキー、ヤッコ(福士誠治)に絡まれ、ブチギレ!その時、妙に解き放たれたような快感を味わい、その日以来、ヤンキーの仲間入り。
優等生からヤンキーに見事に転身したコーちゃんは、勉強なんかそっちのけで、ヤンキー仲間と喧嘩、喧嘩の毎日に突入。
今はどうだかわからないが、当時は中学校別にヤンキーが縄張りを張っていて、他中学との喧嘩が絶えず行われていたらしい。中学生の男の子の世界も大変なのである。(もちろん、ヤンキーなんかやらなきゃいいのだが)原作は、ライター、ゲッツ板谷の初小説。小泉今日子、重松清、よしもとばなな他、著名人が絶賛している。現在は週刊「ヤングジャンプ」にて、コミックも連載中。
主演は、今や注目度No.1の若手俳優、松田翔太。これまで、わりとクールな役が多かった印象が、この映画でガラリとくずれた。ちょっと昔のアツイ不良を、何の違和感もなく演じている。松田翔太だと言わなきゃ気付かない人もいるかも!? リーゼントが意外に良く似合ってるところも、見逃せない。
喧嘩や罵倒に、夜遊びにたばこ。喧嘩のせいで、顔はいつも腫れ上がってる。ワルくて、ボロボロになりながらも、少しずつ成長していくコーちゃん。
「俺はもう1ミリだって迷わない」
とてもカッコよくて、好きなセリフだ。
会社の中堅以上ではないかと思われる年齢の男性たちが、声を出して笑っていたのが印象的だ。男性なら誰もが感じた思いや、誰もが通過してきた「青春」が、この映画にはあるのかもしれない。
泣く子もだまるような不良グループだが、どこか笑ってしまう。アホみたいなこだわりに命かけてる少年たちに、どこか共感を覚える。
何の責任も背負わず、信頼できる仲間とただがむしゃらに突っ走れる・・・そんな時代に、もう一度戻りたいという気持ちを、誰もが心の奥底に持っているからだろうか。
妙に懐かしく、ちょっぴり切ない気持ちも湧いてくるが、映画を見終わった後は、スカーっと気持ちが晴れていくような、とても爽やかな作品だ。
text by... 岡原文恵
2007/09/03